interview of new age

福本 弥生 interview

掲載日/2015年4月24日
絵画
Q1/光風会展に出品するきっかけは何ですか? また初入選は何歳の時ですか?
A/高校時代にご指導いただいた先生方が光風会に所属されていたからです。平岡秀樹先生、橋本一貫先生をはじめ、母校である広島市立基町高等学校の美術部OBの多くの先輩方が光風会で活躍されており、当時から広島で開催される巡回展を見させていただいていました。広島では他にも多くの公募展の巡回があり、美術館にもよく行っていたのですが、光風会に出品されている作品は穏健な具象画が多く、好きな作品が多かったことが印象的です。
広島大学教育学部(造形芸術系コース)を卒業後、美術系のコースのある母校で仕事をさせていただくことになり、大学では絵画を専攻してはいなかったのですが、勤務先の高校ではほとんどの生徒が美術系大学をはじめとした進学を目指しており、その環境の中で再び絵画の制作をしてみたいと思い、広島の絵画研究グループ「いしがき」で勉強しながら1年後の光風会展を目指して制作を始めました。 光風会展への初入選は24歳です。
Q2/光風会展に出品し光風会と関わり始めて、芸術や制作に対する意識など変わったことはありますか?
A/光風会に出品するという目標ができたことで、計画的な制作をすることができるようになりました。春の光風会、秋の日展と、1年に2つの大作を制作することは、公募展への出品という目標がなければ、自分のモチベーションだけではなかなか難しいだろうと思います。
また、研究会では自分なりに制作してきた作品を先生方に指導していただき、また他の広島光風会の方々の作品が指導されるところを見ることができるので、1人で制作しているだけでは経験することのできない多くの体験をすることができ、作品を見る目を養うことができると思います。
光風会展の会場に行くと先生方や多くの方々の作品とともに展示されているので、制作していた時には気づかなかったことに気づくことができ、次回はこうしようという意欲も出るので大変勉強になります。
Q3/絵画制作に関して影響を受けた作家や書籍などはありますか?
A/高校時代に見た公募展の作品や多くの美術展覧会の作品に影響を受けたと思います。ものを見て描くことが好きなので、フェルメールを初めとした穏やかで写実的な作品が好きで、よく展覧会を見に行って図録を買い、家で読んでいます。
Q4/大学在学中はどんな大学生活を送っていましたか?
A/進学した大学が教育系の大学で、3年次の後期から分かれる専攻も美術学だったので、あまりしっかりとした作品の制作はしていませんでした。大学ではデッサンの授業などはほとんどなかったのですが、1、2年次には自主的に大学にある石膏像をデッサンしたり、静物画を描いたり、基礎的なことをやっていました。
大学時代には自分の描きたいものが分からなくて、植物を描いたり、風景を描いたりと、その時々でテーマを変えながら制作していました。油絵は授業と自主制作で1年に2点ほど制作していたように思います。当時は、もっとたくさん制作しなければという思いはありましたが、基礎的なデッサンなどをたくさんしていたことが結果的に現在の作品制作に結びついているような気がします。
Q5/学生の時とは違って社会人として制作スタイルはどのように変わりましたか?
A/制作は全て勤め先の高校で行っています。勤務時間が午後から夜にかけてなので、勤務時間前の午前中と土日を使って制作しています。土日も毎日クラブ活動があるので、常に生徒のいる環境の中で制作をしているのですが、お互いに刺激的なよい制作環境なのではないかなと思います。
高校時代は特に制作ペースが遅い方だったのですが、社会人になり制作時間が十分に取れなくなってからは、大作を制作する前に小さいサイズの油絵のエスキースをつくって、本制作に入ってからの大きな変更がないよう工夫するようになりました。
Q6/若い世代から見て、10年後20年後の光風会はどのように進んでいってほしいと考えていますか?
A/同じ目標を持った多くの人がいる光風会はとても魅力的なので、これからも切磋琢磨できる多くの仲間に出会える場であってほしいと思います。
Q7/これから、自分自身どんな絵を描いていきたいと思っていますか?
A/美しいと思うものを素直に描いていきたいと思っています。その中で自分の感覚を磨いていきたいと思います。

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アトリエ(勤め先の高校)にて
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アトリエの柔らかい採光の中で
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制作ツール
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モティーフ
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times on the table(F130/キャンバスに油彩/2014年制作/第100回記念光風会展会員賞)